今泉壁狼

作品集: 最新 投稿日時: 2014/05/25 22:43:17 更新日時: 2014/05/25 22:43:17 評価: 7/7 POINT: 54 Rate: 1.98
みなさんこんにちは。今泉影狼です。
普段は竹林でひっそりと大人しく暮らしています。
そんな私が、今何をしているのかと言いますと、

知らない人の家の壁にハマって抜け出せません。

ピンチです。





今泉壁狼





「厄日だわ。今日は厄日だわー」
 
 草の根妖怪ネットワークを通じて、妖怪の山で本日河童のバザーが開かれるという情報を聞きつけたのが先日のこと。
 普段は妖怪の山になんてほとんど用事の無い私だけど、今日はその情報を聞いて久しぶりに妖怪の山に来たのよね。
 お目当ては河童のバザーに出される色々な河童の発明品や便利な道具。もしかしたらその中に、私の毛深い体質の悩みを解決できるものがあるかもしれない、と一縷の望みを抱いてはるばる山の中腹近くまで来たのはいいのだけど。
 
「なんであそこでお財布を落すかな私。うう、私の馬鹿……」
 身体を隠す長いスカートが木の枝にひっかかったはずみで、懐に入れていたお財布が落ちてしまったのよ。
 しかも運の悪いことに、勢いよく飛び出たお財布が崖から落ちて滑り落ちて行っちゃって。お財布が無いと買い物もできないから、私は崖を駆け下りてお財布を追いかけたわ。
 よくよく考えたら、空を飛んで目的地に向かっていればあんなことにはならなかったのよね……。滅多に来ない妖怪の山だし、時間にも余裕があったから少し自然の中をゆっくり歩きたいなとか思って崖近くの獣道を歩きたい気分になったのは狼のサガかしら。
 
 崖の途中でお財布を見事キャッチできたのはいいけど、長い距離を駆け下りて加速した私の勢いは止められなくて、そのまま本物の狼よりも速いんじゃないかって速度で崖を駆け抜けた私は、そのままの勢いで崖が終わっても足が止まらなくて。
 急な崖から続く緩い下り坂を一気に駆けて、そのまま自分の力だけでは勢いが止められないままに走って行くとすぐに目の前に誰かが建てたと思わしき小屋があって。
 目の前に迫りくる壁が最後に見えて、それからしばらくの間意識を失ってたみたいで、さっき目が覚めたらこの状態だった、というわけだったのよね。
 
 
 とにかくあの勢いで壁にぶつかって、頭に大きなコブができただけで済んだのは頑丈な妖怪の身体さまさまね。普通の人間だったら大怪我していたところだったわ。
 けど逆にその妖怪の丈夫な身体が災いして、壁にぶつかって止まるどころか壁を突き破って上半身だけがよそ様の家の中に入ってしまい抜けなくなったわけで、必ずしも妖怪の身体がいいことばかりというわけでもないのかもしれないけど。
 こういうの何て言うんだったかしら。塞翁が馬……ちょっと違うか。何かあったような……。

「んー! んんー!!」
 とにかくそんな回想に耽っている場合じゃないのよ。ここから脱出しないことには何も始まらないんだから。
 壁に手をついて思い切り力を入れてみるけど、壁に空いた穴にぴったりと嵌まってしまった私の身体は、前にも後ろにもピクリとも動かなかった。
 いや、これは私が太っているからとか最近余分なお肉が増えたからとかそんなことは決して無いわ。そもそも太るまで食べられるほど食生活が豪華なわけじゃないし。うん。これは崖を駆け下りた勢いが加わっていて本来なら入らない穴に無理やり入ってしまったせいであって、私のお腹が太いわけでは決して無い、はず。
 
「どうしよう。ここの家の人が帰ってきたら、絶対怒られるわー」
 家に帰ってきたら、壁に穴が空いていて、知らない女が壁に嵌まっているわけだから、そりゃ驚くわよね。そしてそれから絶対怒られるわよね。壁を壊しちゃったわけだし。
 なんとかここの家の人が戻って来る前に脱出しないと。いや、逃げるわけじゃないわ。ちゃんと謝らないといけないし。
 
「それにしても、いったいどんな人が住んでいるのかしら」
 壁を壊してしまったのは全面的に私が悪いわけだからとにかく謝るしかないけど、それならせめてこの家に住んでいる人が優しい人であることを祈るわ。
 壁の修理なんてしたことないけど、とにかくやっちゃったものは私が責任持って直さないと。ちゃんと壁を直せれば、もしかしたら許してくれるかもしれないし。
 でも、あらかじめどんな人が住んでいるかが分かっていれば、謝る心の準備もしやすくなるんだけ……ど……

「……どどどど、どうしよう」
 家の人に失礼とは思いつつも、ついこの家にどんな人が住んでいるかの手掛かりが欲しくて家の中を見渡してしまった。
 そして私は今こう思っているわ。見るんじゃなかった、って。
 あまり生活用品は置いて無い、どちらかと言うと質素で素朴な生活ぶりが感じられた家だったけど、その中で私は普通の家には絶対に無いようなモノを見つけてしまったわ。
 それは、普通の人間にはまず持てないような、大きくて重そうな剣。それが、私が嵌まっているのとは反対側の壁際に立てかけられるようにして置かれていた。
 自分の顔から血の気が引いて行くのが分かる。だって、非力な人間や大人しい妖怪なら、まずあんな重厚な剣なんて持ってないもの。と、いうことは、この家に住んでいるのは間違いなく力持ちの、それも大柄な男の人だわ。
 きっとあの剣を使って狩りをしたり、人間や妖怪を襲ったりしているんだわ。
 そんな怖くて強い人が帰ってきたら私はいったいどうなってしまうのかしら。考えただけでも恐ろしいわ。
 
 まずその人が帰って来て最初に目にするのは、自分の家の壁を突き破っている私の下半身よね。
 その時点で既に私は不審者確定なわけで。きっと私が助けを求める前に、妖しい奴として退治されてしまうんだわ。
 ううん。それだけならまだマシな方かもしれない。この家に今住人がいないということは、もしかしたらその人は狩りにでも行っているのかもしれない。
 そうなると、狩りが成功して気分が高揚した状態で帰って来たその人が真っ先に目にするのが、私のちょっと大きいことを気にしているお尻。そして私は壁に嵌まって動けない。昂った精神状態でそんな場面に出くわしたら、荒々しい男の人がすることなんて一つしかないじゃない!
 そ、そうよ。動物が獲物を捉えて動けなくしてから美味しく食べちゃうように、私ももしここの家の人に見つかったら、そのままとても口に出せないようなことをされてしまうんだわ!
 
「……んっ」
 不意にお腹の奥がきゅんっって切なくなった。
 一瞬でもヘンな想像しちゃったせい? う、ううん! 私そんないやらしい子じゃないもん!
 そうだわ、忘れかけてたけど、この時期って狼にとっては発情期なのよ。私も満月の夜とかはちょっとエッチな気分になっちゃうけど、昼間はまだ平気だったから油断してたわ。
 ど、どうしよう。なんだか変に発情期だって意識してしまうと、無性にあそこが気になって仕方ないわ。
 
 
 
 
 私は急いでここから逃げ出そうと、もう一度全身に力を入れてみた。だけど無慈悲な壁の牢獄は、私という哀れな子羊(狼だけど)を閉じ込めて離さない。
 何度も脱出を試みて失敗するうちに私の体力は奪われていき、心の中は不安で押しつぶされそうになっていた。
 
「――――っ!?」
 その時、私は心臓が止まるかと思った。明らかに今までとは違う音が、風の声や木々のざわめきに混じっていた。
 私はこれでも狼だから耳はいい。その耳が、私へと近づいてくる気配を感じ取った。
 
 一瞬で喉がカラカラになった。土を踏む音。砂を鳴らす音。生温かい息遣い。
 誰かの気配。それがすぐ近くにいて、迷うことなくこっちに来ていた。
 間違いないわ。ついに、ここの家の人が帰って来てしまったんだ。
 
「うぅ……」
 とっくに私の姿、というよりも私の下半身はその人に見えているはず。つまり、このみっともない姿も、壊してしまった壁も、全部見られてしまっているわけで。
 私は恥ずかしさと申し訳なさとちょっとの恐ろしさで、たぶん顔色がすごいことになっているんだと思う。
 
「あ、あの、どなたかは存じませんが私は決して怪しい者ではありません。まずは私の話を聞いて頂ければ大変助かるのですが、えっと」
 私のすぐ近くで足音が止まったので、私はその人に話しかけてみた。
 うん、けど、我ながら言っててこれはないわー、と思った。
 下半身だけ出して他人の家の壁に嵌まっている私の姿って、客観的に見ればどう考えても怪しいわよね。怪しさ全開だわー。

「私は狼女の今泉影狼と言いまして、ちょっとした不幸な事故で他所様の家の壁にぶつかってしまいまして、その」
 うう……私の背後にいる人は、私を今どんな顔で見ているのかしら。
 ドジな妖怪だとか笑っているのか、それとも下半身が喋る怪しい妖怪だとか思っているのかしら。
 ど、どっちも嫌だわそんなの。

「きゃっ!?」
 驚きのあまり本能的に私は叫んでいた。私の下半身に、不意に何かが触れた感触があった。
 あっ。もしかしたらどなたか存じないこの人は、このまま私の腰のあたりを掴んで引っ張って、私をここから出してくれるのかもしれない。
 そんな明るい期待を私は抱いたのだけど、そのまま待ってもその人は私を引っ張り出そうとはしなかった。

「ん、くぅ……」
 それどころかその人の手は、私の下半身のあちこちをなで回すように動いてきている。
 腰の部分から太もものあたり、そしてお尻まで、私の身体に密着させた手が自由にはい回る。

「あ、あの、何を……」
 私が呼びかけても返事は返ってこない。後ろで私のお尻を触っている人は、無言でずっと私の下半身をスカートの上から撫でてくる。
 声を聞けないものだから、私の後ろにいる人が男の人なのか女の人なのかも分からないし、その人が怒っているのかどうかも分からない。
 ……なんだか不安になってきたわ。
 この状況で、このまま素直に救出して貰えるのかな、なんて暢気に考えられるほど、私だって何も知らないわけじゃないもの。
 そりゃ、私はその、交尾の経験も無ければ誰かに脚やお尻を触られたこともないけど、まるで私の身体を品定めするように撫でてくるこの触り方はちょっと普通じゃないなー、ってことくらいは分かる。
 つまり、その、なんと言うか……
 いわゆるところの、『なんだか悪い予感』ってやつがしているわけで。

「んんっ!?」
 はう、なんだかその悪い予感が的中しそうな気がしてきた。
 だって、普通、救助活動でスカートの裾を掴んだりなんかしないと思うもの。

「や、やめてよ……!」
 足首まで隠れる私のロングスカートが膝の上まで捲り上げられ、そしてそこから何者かの手が私のスカートの中に侵入してきた。
 ぞくり、と全身の毛が逆立つ。やだ、どこ触ってるのよ。

「はぁ、ん……っ」
 私を引っ張り出して助けるためなら、その行為は絶対に必要無いはず。それなのに、私のスカートの中に侵入してきた手は直に私の足に触れてくる。
 こんな時だと言うのに、今が満月の夜じゃなくてよかった、なんてどうでもいいことを考えちゃったわ。だって、満月の夜だと足まで狼の体毛が生えちゃって、見られるのも触られるのもとっても恥ずかしいんだもの。
 って、そうじゃなくて、どう考えても状況は悪化しているとしか思えないわこれ。
 
「や、やめてください。そんな、いやらしいこと……ひゃうっ」
 私の抗議の声にも、その人は手を止めない。
 太ももの内側に手が触れる。そこの感触を気に入ったのか、誰かの手は重点的にそこをさわさわと積極的に撫でてくる。
 うう、恥ずかしい。私は狼だけあってそれなりに足は速いから、脚はそれなりに鍛えててスリムなのがちょっとした自慢なんだけど、こうしていやらしい意味で気に入られてもあまり嬉しくない。
 
「んっ、くふん、きゃんっ」
 時々、手は私のお尻の方まで昇って来ては、下着の上から私のお尻を触って来る。
 普段他人に触られないような場所を好き勝手に触られるむずむずした感触がくすぐったくて、つい声が出ちゃう。
 でも、直に触れられたことでこの手の持ち主さんについて一つ気が付いたことがある。
 私はここの家に住んでいる人を、力持ちでちょっと乱暴な男の人だと考えてた。けど、私の脚やお尻を撫で回してくるこの手は、男の人にしてはちょっと小さい気がする。
 うん。まぁ、私は大人の男の人の手も握ったこともないから、あくまで予想だけど。
 ただ、この人の手のひらは私の手と比べてずいぶん硬い。たぶん、重いものを毎日握ったり振ったりして、手の皮が厚くなっているんだと思う。
 でも、だからこそ、私の肌の上をその手のひらが動きまわるたびに、厚い皮の硬い感触が、その雄を意識させるような逞しい感触が、はっきりと私の肌に刻みつけられる。
 その手が私の下半身の別のところに移動した後でも、その人が触れた場所にはその感触が残っていて、あるはずのない刺激が私の肌に塗りこまれ続けるような、そんな幻惑に囚われてしまう。

「ひゃっ!?」
 今までとは違う強い刺激が襲って来た。お尻からだ。
 壁に開けた穴に私の身体がすっぽりと嵌まっていなければ、きっと私は驚きのあまり兎のように飛び跳ねていたかもしれない。
 ずっと私の下半身の表面を撫でているだけだった手が、私のお尻を、し、下着の上から掴んで……!
 
「やっ、それは……! そんな、やだっ」
 やだと言っても、今さら止めてくれるはずもなかった。
 私のお尻の柔らかさや弾力を確かめたいのか、鍛えられた指には私のお尻に食い込むほどに力が込められているみたい。
 私のお尻は、まるで粘土でも捏ねられるみたいに、面白いくらいにぐにぐにって形を変えているのが見えなくても感触で分かっちゃう。
 
「はう、ううぅ……」
 どうしようどうしよう。
 この人に、お尻が大きくてだらしがない女だとか思われてないかな。お尻の肉が付き過ぎで、上半身も太っている女だとか勝手に誤解されていないかな。
 お友達のわかさぎ姫は、安産型で良いお母さんになれるお尻だって言ってくれたけど、それでもやっぱりちょっとは気にしているのよ私。
 いや、本来はそんなこと心配している場合じゃないのよね。場合じゃないけど、複雑なのよ乙女心は。
 
「も、もう、やめてよぉ……」
 指が食い込む感触や、下着の布地がお尻を巻きこんで擦れる感触を、何度も何度も味わわされる。
 下半身が見えないせいで、次にどこを触られるのか、それが分からない。だから予想して力を入れていたところと全然違うところを次に触られてしまうと、無防備な場所に不意打ちを食らった驚きと衝撃で、私の身体はびくって大きく反応しちゃう。

「んんっ、はぁ……」
 知らない人に好き勝手に脚やお尻を触られて、良い気分なはずはもちろん無い。
 無いはずなのに、私の下半身は、だんだん触れられて撫でられて揉まれる行為に対して気持ちよさを感じてきている気がする。
 特に太ももの内側をなでなでされると、そこがぞわぞわして、ざわざわして、背中までぞくぞくってして、なんだか頭がふわふわしてくる。
 こんなことおかしいのに、気持ち悪いはずなのに、私の身体は少しずつ、知らない誰かさんのせいで変えられて行っているような気がする。
 このままずっと続けられたら、私、私、いったいどうなっちゃうのかしら……?

「……?」
 あれ。急に手の動きが止まった。
 あれだけ好き放題私の下半身を弄り回してくれた二つの手は、あっさりと私のスカートの中から去って行ったみたい。
 もしかして、もう飽きて止めてくれたのかな。
 
 ……ううん。ちょっと残念とか、もっとして欲しかったなんて、思うわけがない。思うはずがないわ。
 あのまま続けられてたら私は絶対におかしくなってたはずだから、止めてくれて助かったと思うのが当たり前なのよ。
 とりあえずこれからどうなるんだろう。今度こそ、私をここから引っ張り出して助けてくれるといいのだけど。
 
「うー」
 ずっと撫で回され続けた下半身が疼く。私も狼だから体温は普通の人よりちょっと高いけど、相手の人の手も私と同じくらい高かった気がする。
 その相手の体温が手のひらを通じて私にうつされたかのように、じっくりと触れられ続けた脚もお尻もいつも以上の熱を帯びて火照っているような感じがした。
 
 と、不意に、そんな熱くなった脚に冷たい空気が触れた。
 
 最初はその意味が分からなかった。むしろ、火照った下半身が冷やされる感触は新鮮で心地よかった。
 
 だけど、すぐに私は理解した。脚に外気が触れると言うことの意味を。
 すなわち、本来なら足首まで覆う長いロングスカートに隠されて、外気に触れることなどありえないはずの私の脚が、どうなっているのかを。

「やっ……!」
 するすると少しずつ上がって行くような衣擦れの音。徐々に冷たさを感じる面積が増えていく下半身。時々スカートの布地越しに私の脚に触れる、相手の手の感触。
 その光景を想像しただけで恥ずかしさのあまり私の顔に熱が集まって行く。
 つまり、今、私のロングドレスのスカートが、膝の上からさらに上の方まで捲り上げられているんだ。
 私、今、知らない人の前で、お外で、脚を丸出しにさせられているんだ!
 
「やだっ、やぁっ、やめてください!」
 私が下半身を左右に振って抵抗するのもお構いなしにスカートが捲られていく。私の足首を、膝の裏を、太ももを、徐々にまだお天道様が高いこの青空の下に曝け出していく。

「そんな……やあぁ……」
 そしてついに下半身がひんやりとした外気に晒された。
 スカートに隠してもらっていた足、そして男の人に見せたことなどない下着が、いま完全に露わにされている。
 
「あうぅ……」
 この場から逃げ出したくて必死に手で壁を押してみたけど、やっぱり身体は抜けなかった。
 見られてる。こうして私が残った力を振り絞ってもがいている間にも、男の人になんて見せたこともなかった私の下着姿が見られてる。
 そう思うと、本当に消えてしまいたくなっちゃう。
 こんなことになるなんて思わなかったから、下着なんてこだわらずに一番シンプルな布のショーツを穿いて来たのよ。
 やっぱり色気の無い女だとか思われてるのかな。よ、汚れたりとかしてないわよね?
 あ、でも、さっき発情期だってこと意識しちゃってあそこがちょっときゅんっってなっちゃったから、もしかしてちょっと染みが出来てたりとか、してないわよね?
 いやー! もしそうだったら私死にたくなるわー!
 
「ダメ、見ちゃダメぇ!」
 お尻を振って抵抗しようとした……けど、そもそも壁にすっぽり嵌まって動く隙間が無いこの状態では、ロクに下半身も動かせないからぜんぜんお尻も動かなかった。
 足だけ跳ねあげてこのエッチな人を蹴り飛ばそうかとも思ったけど、相手が見えないとロクに狙いも付けられないし、それに中途半端に攻撃して怒らせちゃったりしたら逆に私の方が危険だし。
 け、決して私がヘタレなわけじゃないのよ。私は争い事は苦手だし、自分が生き延びるために最善の選択を取ろうとしているだけなのだから。
 
「うー、うぅー」
 それにしても恥ずかしい。私がこんなこと考えている間にも、私の下着は見放題で、まじまじと観察されているんだわ。
 私からじゃ見えないけど、妙に下半身がムズムズして、ねっとりと何かが纏わりついてくるような感覚が消え去ってくれない。
 きっと、私の後ろにいる人は無防備な私の下着を、穴が開くくらい見つめているんだ。そして、下着の下に隠された私の生のお尻とか想像していやらしい気持ちになってるんだ。うわーん、きっとそうに違いないわー!
 
「ごめんなさい、家を壊しちゃったことは本当に謝りますから、もう許してぇ……」
 これ以上は本当にダメだから、私は泣きたくなるのを堪えて謝った。でも、返事は返ってこない。
 やっぱり、怒ってこんなことをしているんじゃないのかもしれない。最初から、私にエッチなことをするのが目的だったとしたら、もしかして、これ以上のことをされてしまうかもしれない。

「あっ!?」
 思わず声が出ちゃった。だって、その、指が、指が両側から私の下着を掴んだんだもの。
 すぐに嫌な予感がした。そして、その予感は的中したわ。
 
「やっ、待って、やだ、それダメっ!」
 ゆっくりと私の下着が下ろされていく。さすがにダメ。これはダメ。
 足をバタバタさせてみたけど、その人はそんなことおかまいなしに私の下着にかけた手をずりずりと引いて私のお尻を隠す布を取り去って行く。
 徐々にお尻がスースーしていく開放感。でも、それはつまり、私のお尻が丸出しにされていくことを意味するわけで。
 
「やだ、やだぁ……」
 見られちゃってる。スカート捲り上げられて、隠せるものはもう何もなくなっちゃって、まるで獲物を食べる前に毛皮を剥ぐみたいに、邪魔な私の下着を剥ぎ取って美味しく食べられる準備が整えられていく。
 見せたこと無かったのに。私のお尻なんて、誰にも見せたこと無かったのに、今、誰かも分からない人に無理やりお外でひん剥かれてお尻見られちゃってる。

「あぁ……嫌ぁ……」
 ささやかな抵抗も空しく、私の下着は完全に下ろされてしまった。ずり降ろされた下着が足首に引っかかっているのが分かる。
 最後の布切れに守られていた私の大切な場所は、今や一糸纏わぬ状態で天下に晒されているんだ。
 今は満月の夜じゃないから足やお尻に体毛は生えていないけど、それでも私のあそこの毛は普段からそれなりに毛深かったりする。
 そんな毛深い陰毛に守られたおまんこも、ちょっと大きいことを気にしているお尻も、見知らぬ誰かに今この瞬間も見られているのかと思うと、顔から火が出そうになるくらい恥ずかしい。
 
「見ないで……私の恥ずかしいところ見ないでぇ……。これ以上見られたら、恥ずかしくて本当に顔から火が出ちゃって、このお家火事になっちゃうよぉ……」
 我ながら何を言っているのかと思ったけど、それくらい私は恥ずかしさのあまり混乱しているんだと思う。もし火事になったら私の方がむしろ危険よね。どうでもいいけど。

「ふみゃっ!?」
 お尻になんだか生暖かい風が吹き付けられた。
 そよ風のように微かな、だけど生気を感じる生々しい感触。

「ふやぁ…」
 なんだろう、と思ったけど、その風の正体に私はすぐに思い当たった。
 たぶんこれ、鼻息だ。
 ……と、いうことはつまり、よ。

「!!」
 私は急に物凄い恥ずかしさを覚えて、必死に身体を揺さぶった。壁に嵌まった状態だと全然身体を動かせなかったけど、それでもさすがに抵抗しなくちゃ。
 だって、だって私のお尻に鼻息がかけられているってことはつまり、その、
 私のお尻のすぐ前に誰かの顔があるってことじゃない!

「うーっ! んんーっ!」
 やだやだやだ。こんなに息がかかるくらい近くでお尻とかあそこ見られてるなんて、恥ずかしすぎて本当に死んじゃう!
 どうしよう。自分じゃ自分のお尻なんてちゃんと見たこと無かったから、他の人と比べて変なお尻だったりしたらどうしよう。
 幸いと言うか、普段はお尻の周りにまで毛は生えて無いからかろうじて女の子として守るべき最後の砦は守れてるけど、このままじゃ私のお尻の細かいところまで全部知られてお嫁に行けなくなっちゃうわ。

「ひゃっ」
 お尻を急に掴まれた。がっしりした指が私の生のお尻をしっかりと捉えて離さない。
 二つの手が私のお尻を上下左右に円を描くように弄んでくる。直に触れられる、相手の人の手の生々しい感触や体温がお尻に伝わってくる。
 このままずっとお尻を触られ続けるのかな、と思っていたけど、さらに相手の人は私の予想を越えたことをしてきた。
 
「えっ? きゃっ!」
 や、やだ。嘘、信じられない。
 私のお尻を掴んだ両手が、そのままお尻の肉ごと左右に開いた。
 丁度その手つきは、獲物の兎の巣穴を探して草むらをかき分けるみたいだと思ったけど、そんなことを考えている場合じゃないわ。
 だって、草むらの代わりにかき分けられたのは私のお尻で、左右に開かれてぽっかりと口を開けて晒されたのは、つまり、私の、お、お、お尻の穴……!
 
「〜〜〜〜!!」
 叫ぼうとしたけど、恥ずかしさで声も出なかった。小鳥が囀るような音をもっと聞こえにくくしたような高い音だけが私の喉から漏れて口から出て行った。
 お尻なんて、お尻の穴なんて、女の子としてこんなところ、毛深いおまんこを見られる以上にもっと恥ずかしい!
 もちろんちゃんとそこはいつも清潔にしてるけど、こんなところ見ても面白くもなんともないはずじゃないの!? ど、どうして私のお尻の穴なんて広げたがるの!?
 
「……すん、ぐすっ……」
 なんだか泣きたくなってきた。まだ泣いて無いけど、もう私の顔は羞恥で真っ赤なんじゃないかと思う。
 私のお尻なんかこんなにじっくり見て、この人は何をしたいのか、何も言ってくれないから何も分からないのがかえって怖い。
 言われたいわけじゃないけど、怖そうな男の人の声で「姉ちゃんいいケツしてんなぁ」とか、友達が持ってた本の悪役さんみたいな台詞を言われた方がまだ現実感がある。
 
 ……と。
「ひゅっ!?」
 急に背筋に冷たい震えが奔った。私の身体は、驚きのあまりびくっ、って跳ねるところだった。
 お外で誰かさんの目の前に曝け出された私のお尻の穴。そのすぐ近くの空気の流れが変わって、生温かい風が私の剥き出しのお尻をそっと撫でた感触だと分かってしまった。
 
「う、嘘でしょ!?」
 微かな空気の流れ、壁越しでも私の耳で聞こえる、すんすん、と鼻を鳴らすような音。
 この感触を、私は本能で知っている。私に流れるニホンオオカミの血が、普通の女の子ならまず経験したことのないこの行為の意味を教えてくれる。
 つまりこの誰かさんは、私のお尻に鼻を近づけて、その……匂いを嗅いでいるってことになる。

「そんな。これって、これって……」
 見えなくても、その光景が想像できる。
 誰かが私の下半身を前に跪いて、顔を私のお尻に思い切り近づけて、さらに鼻をお尻の穴に入りそうなくらいに寄せて、くんくんっって匂いを嗅いでいる光景が。
 嗅がれちゃってる。私、お尻の匂い、嗅がれちゃってるんだ……!
 
「はぅ、あう」
 狼とか、犬とか、そういう動物が初対面の時に相手のことを知るためにお互いのお尻の匂いを嗅ぐ行為をするのは、私ももちろん知ってる。私は実際にしたこと無いけど。
 でも自分が実際にやられるなんて思って無かった。
 まさか、さっきから私のお尻に悪戯しているのは野犬か何かの動物なのかなとも思ったけど、私のお尻を掴んで拡げている手は間違いなくヒトの手だし。
 それとも、私の顔は見えてなくても、『お前がニホンオオカミの狼女であることは既に見破っているぞ』とかそんなことを言いたくてこんなことしてるの?
 いや、でも、それならちゃんと口で言えばいいだけだし……うう、どうしよう。私のお尻の匂い、臭くないかなぁ。臭いって思われてたらどうしよう。恥ずかしい……。
 
「あ、う、うぁ……」
 ま、まずい。
 こうやってお尻の匂いを嗅がれて、まるで本物の動物みたいな扱いをされていると、私も思わず自分がイヌ科の獣の血が半分流れてることを意識しちゃうわ。
 別にそれ自体は当たり前の事実だから普段はそんなことで何も変わったりはしないんだけど、今この状況だと話は別。
 だって、思い起こせば今は私は発情期で、しかも私はお尻もおまんこも丸出しにされて誰かに見られてて、そしてまるでイヌ科同士でするかのようにお尻の匂いを嗅がれてるわけで、
 
「あっ……はぁっ、きゅぅん……」
 あ、ダメだ。
 スイッチ入っちゃったかも。
 だって、この状況でこんなことされたら、いくら私がまだエッチな経験無くても、身体が交尾の準備を始めちゃう……!
 
「はふっ、はぁっ」
 心臓がどくどくって早く動き始めた。
 喉がカラカラに乾いて行く。この人に直接触れられているお尻の周りが、お尻の穴が、お尻の中が、おまんこが、熱くなっていく。
 汗が浮かんできた手のひらを、我慢するようにきゅって握りしめたけどあまり心臓の動悸は変わらなかった。
 今までも満月の夜にはこれに近い衝動はあった。だけど、そんな時いつも私は一人だったせいかは分からないけど、子供が欲しいとか交尾がしたいとかそこまで強く思ったりすることなんて無かったし、自分で慰めればそれで動悸も火照りも収まった。
 けど、今はまずいかも。相手が誰かも分からないけど、もしかしたら私と同じような種族かもしれない人がいて、その人は私の下半身を裸にしていて、私の恥ずかしい所は全部見られていて。
 そんな状況でお尻の匂いなんて嗅がれたら、これから交尾するのかな、なんて思っちゃうのは仕方ないじゃない。本能なんだから。処女だって何だって、雌の本能には逆らえないんだから。
 
「ん、あ、うぅ」
 自分の身体がどんどんいやらしい色に染まって行くのが分かる。ここまで身体が熱くなるなんて初めてだけど、これが本当の発情期なんだってことは何となく分かる。
 きっと、私の匂いも変わってる。恥ずかしいとか嫌だって気持ちが強かった匂いから、発情して雄を誘う雌のフェロモンがたっぷり含まれた匂いに変わっちゃってる。
 
 今私のお尻をくんくん嗅いでいる人は、私の匂いの変化に気付いているだろうか。たぶんだけど、気付いていると思う。
 だって、壁が邪魔で自分の匂いの届かないはずの私自身ですら、自分の身体がおかしくなってきていることに気付いているんだもの。
 私が雄を迎え入れる準備が整いつつあることが知られちゃったら、私、これからどうなっちゃうんだろう。

「はひっ!?」
 急に襲ってきた感触のせいで、また口から変な言葉が出た。
 私のあそこを這うように触れてきた、ぬめるような粘質の生き物。
 それが私のお股に走る割れ目に沿うようにして触れてきた。

「なっ、ひゃんっ? や、やあぁ……」
 熱い。表面はトロトロの粘液で覆われていて軟らかい。なのに、私のあそこの粘膜に押し付けてくるそれは熱を帯びていてとても熱い。
 すぐに私はその生き物の正体に思い当たった。間違いなく、それは舌だ。食べ物の味を確かめたり、傷を舐めて癒すための舌が、今、私のあそこを味わうために直に触れてる。
 わ、私、知らない人にあそこを舌で舐められちゃってるんだ……!

「や、やぁんっ! ふぁっ!」
 な、なんてことかしら。信じられない。
 この人、今、私のあそこ舐めてる。毛深くてもさもさしてる私のあそこを、そんなこと関係ないと言わんばかりに顔を密着させて舌で舐めてる。
 
「あっ! いやぁっ! ダメ、ダメぇ!!」
 壁越しでも、ぴちゃぴちゃ、じゅるじゅると、私のあそこが舌とお口で嬲られるいやらしく恥ずかしい音が伝わってくる。
 私のお股の、毛が生えているあたりまで、舌が伸びてくる。茂みの上からでもおかまいなしに、ぬるぬるした舌が私の股間の周りを好き勝手に動く。
 べっとりとした唾液で、あそこの毛がしっとりと濡れてる感触が、ちょっと冷たい。
 うう、イヤじゃないのかなこの人。私のあそこ毛深いのに、それでも構わず舌で舐めてくるなんて。

「んんっ! ひぁっ! はひゃんっ!!」
 私の割れ目に沿って、舌が上下に往復する。縦筋の中に舌の先端が入りこんで来て、私のあそこの隅々まで唾液を塗りこんでくる。
 傷を舐めるような、そんな優しい舌遣いじゃない。まるで舌で私を食べようとしてくるかのような、激しく獰猛な舌遣いで、私の秘肉を味わっている。

「くぅん、はぁ、やだっ、んんっ!」
 陰毛の生えている割れ目の終点から、お尻の穴の辺りまで、舌は何度も何度も往復する。
 唾液を塗された上からさらに新しい唾液が塗りたくられ、私のあそこには違う誰かの匂いが染みついていくような感覚が刻まれる。
 時々、自分で弄ると一番気持ちいいお豆の辺りに舌が当たる。その度に私の口からは、堪え切れない声が勝手に漏れる。
 
「はぁっ、くぅん、ひぅっ」
 じゅるじゅる、れりゅれりゅ、舌と粘膜が絡み合う音が壁越しでも聞こえてくる。自慢の狼の聴覚が今だけは仇になる。きっと耳を塞いだとしても聞こえてしまうだろうから。
 ううん。耳だけじゃない。私の身体全てが敏感になって、股間で立てられる音を拾っている。私の肌や内臓を通して、この音を全身に伝えてさらに身体を熱くさせる。
 知らなかった。女の子のあそこを舐められる音って、こんなにいやらしい音だったんだ。
 
「みゃっ!!?」
 唐突に、受け止めきれないほどの刺激が背筋を突きぬけた。だらしなく開いた口から、自分の舌が飛び出るほどだった。
 ずっと私のあそこの周囲を舐めていた舌が、今度は柔らかくなった陰唇をかき分けて中へと侵入してきたんだと、すぐに分かった。

「ひぃんっ! だ、駄目! それ駄目、入ってくるのいやぁ!」
 そう叫んでも、舌の動きは止まってくれない。
 閉じた私のあそこの中、誰にも触れられたことのない場所までどんどん私以外の人が入って来る。
 ご丁寧に、入ってきた舌は上下に暴れ回って、私の中を舐めてほぐしてくれているみたい。
 だけど、今そんなことされて中から刺激されたら、私の身体は絶対におかしくなっちゃう。
 歯を食いしばって、両手を握りしめて、未知の刺激に耐えたいのに、舌と私の粘膜が擦れ合うたびに、自分で弄った時でも出てこないようなひどく甘くて切なそうな声が勝手に出ちゃう。

「はぁん! んふぁ、やっ、私の中で、舌が、くふぅん!」
 差し込まれた舌が私のあそこの中で生き物のように蠢きながら、少しずつ奥へと侵入していく。
 このまま舌で私の純潔を散らされてしまうんじゃないかと思うくらい、舌が深くまで入って行くのが分かる。
 
「もう、やめてよぉ……これ以上、くふんっ、私の中に、あぁんっ、入って来ちゃダメぇ……」
 私の知らないところまで、知らない人の匂いが付けられていく。私の知らなかった感覚が、知らない人の舌で私の身体に刻みつけられる。
 私が私じゃないものにされていく感じがする。この先に何があるのか、分からないのが怖い。それなのに、身体の中を舐められる気持ちよさが強すぎて、私の思考を快楽だけに染めていく。
 怖いって感じが、気持ちいいって感じに上書きされちゃって、やめて欲しいって口では言えても、雌の身体が、もっと欲しいって思ってしまう。
 どうしようどうしよう。これ以上好き勝手に私のあそこを弄られたら、私、本当にお嫁さんに行けない身体にされちゃう!
 
「くふぅん! あぁっ、ダメ、ダメ、ダメなの、やぁっ、あぁっ!」
 奥まで捻じ込まれた舌が私の膣内で暴れる。柔らかい器官のはずの舌は、梃子のような強さで私の膣内をこじ開けて拡げていく。
 中から身体が押される。でも、粘膜同士が擦れ合う刺激が気持ち良くて、未知の感覚に戸惑おうとする私の意識を無理やり塗り潰す。
 身体の奥から、熱い情欲がどんどん溢れていく感じがする。たぶん、これは比喩じゃ無く、気持ちいい時に出るお汁が次々にあそこから溢れているんだと思う。
 その証拠に、さっきからどんどん、じゅるじゅると私のあそこを吸い上げるいやらしい水音が大きくなっている。
 
「やっ、あぁぁっ! ふぁぁっ! ダメ、やっ、あっ、くぅんっ、あぁぁぁぁ!!」
 トドメとばかりに、私のあそこに口を押しつけたまま、この人は湧水でもすするかのように私のいやらしいお汁を全部飲み干す勢いであそこを吸い上げて来た。
 身体中が、知らない人のお口の中に吸い込まれていきそうな錯覚を覚える。
 同時に、舌が私の膣内で思い切り動いた。膣内の上の壁が、硬くなった舌の先で押し込まれながら抉られる。
 私のあそこの中に雷が落ちたような、そんなびりびりって刺激が一気に私の中に広がって、目の前が白くなった。
 
「あっ――――はぁ――――はひ――ふぁ……」
 自分が消えてしまいそうな根源的な恐怖すら、快感で吹き飛ばされそうになった。かろうじて残っていた理性が、自分自身をしっかり保とうとするように、両手で自分の身体をしっかり抱くように掴んでいた。
 そうでもしないと、私は今の衝撃で気を失っていたと思う。発情期に一人で指で弄った時に達した時の快感なんかとは比べ物にならないくらい、自分以外の人にイかされる快感は別格だった。
 
「イっ……ちゃった……」
 身体に力が入らない。
 壁に挟まれていなければ、とっくに私は床の上に倒れこんでいたと思う。
 私の中に残った気力と理性が、あそこからたくさんの愛液と一緒に流れ出てしまったみたいな感覚。
 おまんこの奥がじんじんする。どんなに深呼吸しても、そこの疼きが止まらない。自分じゃ見えないけど、舌で蕩けそうなくらいに舐められてイかされたあそこはいったい今どうなっているんだろう。

「あっ……」
 ごつごつした手が、私の丸出しのお尻を掴んだ。
 私が身体を揺さぶって抵抗しないようにするためなのか、力の篭ったその手は私のお尻に痕を付けようとしているんじゃないかってくらい強く指を食いこませてくる。
 そんなことしなくても、壁に嵌まった私の身体は逃げられやしないのに。これ以上何をしようとしているのか……ううん、本当は、もう私にも分かってる。
 
「やっ、ぁぅ」
 太く力強い親指が私のあそこに伸びて来たかと思うと、私のヴァギナの入り口を隠していた肉唇を引っ張るようにして左右に広げた。
 私の恥ずかしい穴がお外で丸見えにされてる。イかされた後のふやけたおまんこの入口が開かれて、きっと奥まで見られちゃってる。
 恥ずかしい。恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい。
 でも、私の身体はこれからされるであろう行為に期待しているのが分かってしまう。
 ぽっかりと開いた淫口から、涎を垂らすように新しい愛液が沸いて垂れ落ちる感覚があった。
 きっと私のあそこは今、飢えたケダモノの口みたいに物欲しそうなことになっているんだ。
 
「っ!?」
 何かが触れた。私のあそこ、性器の入り口に、何か固く尖ったものが押し当てられた。
 熱い。先端が炎で熱されているかのように熱い。私のあそこの粘膜が、その棒に触れているだけで火傷してしまいそうに思えてくる。
 
「ま、まさか……待って、待ってよぅ」
 それが何なのか、経験の無い私でも分かる。熱を帯びた、オスだけが持つ肉の槍。それは私を、雌を犯し、蹂躙し、征服し、交尾の果てに孕ませるためのもの――勃起したペニスだ。
 私も人間の実物を見たことは無いから、形や大きさは野生の動物とかのを見た経験と、本とかで得た知識と、今押し当てられている感触で想像するしかない。
 だけど先端が触れただけでも、それがどれだけ凶悪なものかは想像に難く無かった。
 
「やぁ、ダメ、それだけはダメぇ……」
 私のあそこの割れ目に沿って、上下に、何度もその先端が擦りつけられる。
 まだ誰にも侵入を許したことのない、子作りのための穴。しつこいくらいに舌で舐められてぐちょぐちょに濡れているそこに、硬くて熱い槍が入口を探り当てようとするように何度も往復する。
 私の奥から溢れて来ている熱いお汁が、膨らんだペニスに塗りたくられる粘ついた音がここからでも聞こえる。
 
「やだ、やだぁ……」
 閉じている私のあそこの肉ヒダをかき分けて、ちょうど穴の入口にペニスの先端が触れるたび、そのまま私の中に入って来るんじゃないかと思うと、私の脚はガクガクと震える。
 もう、いつ犯されてもおかしくない。今の私は蜘蛛の巣にかかった蝶、まな板の上の鯉、罠にかかった動物。つまり、もはや逃げられない被食者でしかないんだ。
 
「んんっ、こんなの、こんなのダメ、だってばっ」
 肉槍の先端が押し付けられるたびに、私の雌穴の入口が何度も開かれる。そのたびに奥から溢れて来た蜜が、とろりと漏れて相手のペニスを伝って行くのが分かる。
 左右に割れた肉唇が、まるで本物の口のようにペニスの先端に食いつこうとする感覚があった。無意識のうちに私の身体がそれを欲している、なんて思いたくない。思いたくないのに。

「ふぁっ、くぅん……」
 すっかり敏感になった私のあそこの粘膜は、熱いモノが擦られるたびに切なそうにぷるぷると震える。
 焦らすように、何度も何度も私の割れ目を上下させるだけの刺激が、もどかしいほどに私の理性を揺さぶって行く。
 女としての理性が感じる、いつ犯されるか分からない恐怖。だけどそれに徐々に、性器と性器が擦れ合って生まれる気持ちよさが混じって行く。
 
「はぁっ、やぁ、だめ、だめぇ……」
 いけない。欲しがっちゃいけない。焦らさないで挿入して欲しいなんて思っちゃいけない。
 だって、私は初めてなのに。狼は、生涯決めた相手としか添い遂げちゃダメなのに。それが、誰かも分からない相手に初めてを捧げて、子作りをするなんて、そんなのいけないはずなのに。
 
 でも、でも……
 
 こんなに熱いペニスでずっとあそこを擦り続けられたら、私、本当に、そのまま犯して欲しいなんて思っちゃうよぅ……!!
 
「ふっ……くぅん、はぁっ……」
 どうして、どうして入れないの?
 ちょっと腰を突き出すだけで、鋭い肉槍の先端は簡単に私の中に入って行くのに。
 私は壁に嵌まって動けないし、脚で蹴飛ばしたりとかそんな器用な抵抗もできないから、私のおまんこを好き勝手に犯すことができるのに。
 
「んくぅっ、ぁぅん……」
 それなのに、ずっと私の割れ目を擦ってばっかりで。
 私のいやらしいお汁と、相手の人のペニスから滲んできたお汁を混ぜ合うようにくちゅくちゅ音を立ててばっかりで。
 相手の人だって、ずっとこうしているなんて逆に辛くないのかな。私の中に入れて、思い切り出し入れして気持ち良くなりたくないのかな。
 だって、これ以上はもう、私の方が本当に我慢の限界が来ちゃうのに。こんなに焦らされたら、これだけの気持ちよさじゃ、満足できないのに。
 
「や、はっ、きゅぅん、はぁぁ……」
 言ったらダメ。言ったらダメよ。
 言っちゃったら、もう戻れない。
 私、本当に、もうお嫁さんに行けなくなっちゃう。
 きっとこの家で、雌狼、ううん、ただのメス犬として、一生飼われちゃう。
 相手の人もそれが目的で、私にそれを言わせたくて、さっきからずっと入り口で擦りつけるだけで私を焦らしてきているに違いないわ。
 
 でも、でも……
 
   欲しい。雄が欲しい。ペニスが欲しい。この身体の火照りを何とかして欲しい。
 
 ああ、もう……私、もう……
 
   刺激が欲しい。快感が欲しい。子種が欲しい。この身体の疼きを止めて欲しい。私の雌の本能を限界まで昇華させて欲しい。
 
 もう……ダメ……!
 
「……て…だ…い」

 わかさぎ姫、妖怪草の根ネットワークのみんな、ごめんね。
 私の身体も、頭も、気持ち良すぎてもうおかしくなっちゃって、限界なの。
 
 私、もう戻れない。
 
「挿れてください! どこの誰か知りませんが、その熱くて逞しいペニスで、私のあそこを犯してくださいっ!」

 言っちゃった。
 ついに私の方から、おねだりしちゃった。
 だって、私のお腹の奥がうずいて、壁に嵌まった状態じゃ自分で弄ることもできなくて。
 このままじゃ気が狂ってしまいそうだったんだもの。
 だからもう、どうだっていい。
 私の身体の火照りを冷ましてくれるためだったら、この疼きを止めてくれるためだったら、滅茶苦茶にされてもいい。
 
「あっ……」
 ずっと上下に動くだけだったペニスの動きが止まった。その尖った先端は、私のあそこの入り口にぴったりと密着している。
 お尻を片手でがっしりと掴まれた。固定された私の下半身に体重がかけられ、入口が圧し開かれる。
 膨らんだ先端が私の中へと入って来る。とても大きなペニスの先端は、ずっと誰の侵入も許してこなかった私のヴァギナの中へとあっさり侵入を果たした。
 
「ふっ……あぁぁ……」
 お尻を掴む手に力が込められた。少し痛いくらいにお尻の肉に指が食い込む。でも、その痛みも、なんだか今は気持ち良い。
 そして、それは唐突にやって来た。
 
「ぁおっ……」
 それが起きた瞬間、私の口からは悲鳴にも似た吐息が漏れた。ずぶり、という音が脳天に響いたような気がした。
 一息で奥まで挿入されたのだ、と自覚するには、私の頭はまだこの状況に追いつけていなかった。
 ごつん、と私の一番奥に、硬い何かがぶつかる感触があった。

「――――あおぉぉぉぉぉん!!」」
 一歩遅れて、私の中から、経験したことの無い強烈な衝撃が全身の毛を逆立てるほどの奔流となって襲いかかった。
 それを感じた瞬間、遠吠えのような声が勝手に口から出ていた。
 満月の夜ですら、こんなに大きな声を出したことは無かった。もしかしたら、今の声はそこら中に響いたかもしれないと思うと恐ろしいけど、でも、今はそれどころじゃないくらい色んな気持ちがごちゃごちゃで、上手く考えられない。
 
「はっ……かはっ、あぁぁっ……!!」
 挿れられた。ようやくそれを自覚した。私のあそこはとうとう雄を迎え入れてしまったんだ。私が、望んで、誘って、処女を散らしてもらったんだ。
 私はこんな、誰の家とも知らない場所で、顔どころか姿すら見えない相手に、純潔を捧げてしまったんだ。
 ショックが無いと言えば嘘になる。だけど、それ以上に、ううん、他のことなんかどうでもいいくらい、気持ちいい。
 散々焦らされて疼きっぱなしの私のあそこの中は、雄の太いペニスで征服された喜びで震えていた。
 
「はぁっ、あうっ、んはぁぁぁ……」
 後方から微かに香る、血の匂い。これがきっと、初めての証って奴だと思う。
 初めてだったから、もちろん痛い。けど、想像していたよりはずっと痛みは軽微で、むしろ不思議なくらい身体は悦びを感じて、痛みすら快感に変えてしまっているかのよう。
 私の初めてを奪った人は、繋がった部分から流れる血を見て何を思っているんだろう。
 私が生娘だったと知って驚いたのかな。
 それとも、初めてのくせに自分から雄を誘うなんて淫乱な女だとか思っているのかな。それはちょっと嫌だな。
 初めてを奪った責任を感じて、私をお嫁さんにするしかないとか思うのかな。野獣のような大男さんだったりしたらそれもちょっと怖いけど、でも、どちみち私はもう戻れないものね。
 
 気持ちよさとか、ショックとか、痛みとか、後悔とか、期待とか、色んな気持ちがごっちゃになって混乱うまく思考が働かない。
 でもどうやら私の初めてを奪った相手にとってはそんなことはお構いなしなようで、私が放心している間にも、この人は動きだしていた。
 
「っ!! きゃうっ! んぐっ、ひあぁぁん!!」
 私の一番奥まで入っていたペニスが引き抜かれていく。誰にも触られたことの無い私の中を広げていく。
 膨らんだ先端が、私のヴァギナの壁に引っかかりながら擦っていく感覚が私の身体をゾクゾクと震わせる。
 
「あぉっ! あぁん! ひゃぁん!」
 私の中から完全に抜けてしまいそうなところで、また一気に奥まで侵入してくる。
 突き出した私のお尻に肉の杭を打ち込むかのように、思い切り力を込めて、腰を打ちつけてくる。
 無理やり開通させられた私のヴァギナを、強引にペニスの形に広げていく。
 
「そ、んなっ、あぁっ、んんっ! ひゃんっ!」
 挿入する前はあれだけ私を焦らし続けたと言うのに、いざ入れてしまうと一転して激しく乱暴な抽送が繰り返される。
 私が処女だったことなんかおかまいなしみたいに、ひたすらに快楽を求めて逞しいペニスが出入りする。
 私のヴァギナが狭いのか、この人のペニスが大きいのかは分からないけど、ペニスが前後するたびに私の身体は内側から押し出されるような圧迫感を抱いている。
 ちょっとだけ苦しい。でも、それは雄に征服されていることを実感させてくれる。それが私の雌としての本能を昂らせていく。

「はぁ、んっ、はぅ、きゃうんっ!」
 私と下半身で繋がっている光景は壁のせいで見えないけれど、そこがすごいことになっているということは視覚以外の五感が教えてくれる。
 私の耳に届く、体液がかき混ぜられる音。ぐちゅぐちゅ、ねちょねちょ、まるでハチミツの入った壺に手を突っ込むみたいに、粘着質の水音が私の耳を侵す。
 徐々に濃くなるフェロモンの匂い。繋がった場所から、雌の体液と雄の体液が混じり合った匂いが、壁を越えて私の鼻孔に届く。
 私のお尻にぶつかる、相手の人の下半身の感触。まるで太鼓を叩くみたいに激しく打ち付けて乾いた音を立てながら、そのぶつかり合う振動で私のお腹の中を揺らしてくる。
 本物の犬のようにだらしなく出された舌から涎が零れる。私自身の出したただの唾液のはずなのに、その粘つく液体はまるでお酒か媚薬であるかのように強烈に私の舌を悦ばせながら滴り落ちていく。

「んぁぉっ! きゅぅん! あはぁっ!」
 私を犯している相手は、両手で私のお尻をがっしりと掴み、さらに腰の動きを加速させてくる。
 初めての私に対しても容赦のない、力で蹂躙するその行為は、私が狼女の妖怪じゃなく普通の人間だったらとっくに壊れていたと思う。
 肉欲の赴くままに私のあそこを使ってペニスをしごくそれは、人間同士がするって聞くような、愛のあるセックスでもなければ、ケモノの子作りのための交尾とも違う。まさにそれは、『捕食』だった。
 獲物である私を味わい、食らい、貪る。私はただ、喘ぎながら壁に手をつき、つま先に力を入れて堪えながら、相手の人の『食事』が終わるのを待つことしかできないんだ。
 
「うぁっ、うぐっ、うはぁっ!」
 私のヴァギナの一番奥、子宮の入り口を、肉の槍の先端が何度も突いてくる。
 その度に、内臓を突き上げるような衝撃が全身を奔る。子宮口を叩くリズムに合わせて、私の口からは雌の声が漏れ、四肢は踊るように痙攣する。
 そこを突かれるたびに、嫌が応でも実感してしまう。これが、子を作る行為だということを。
 例え相手はそんなことを思っていなくて、ただ食欲と性欲――生物としての肉欲を満たすための食事だとしても、私は、雌の身体は、赤ちゃんの部屋をノックされて子作りの準備を整えていくんだなって、身体が教えてくれる。

「あぉっ、あはぁっ! んんんっ!」
 擦れ合っている膣内が火傷しそうなくらい熱い。
 奥まで入れられたペニスが引き抜かれるたびに、ペニスの先の反りかえった部分が私の膣壁にひっかかって、擦れるのが気持ちいい。
 私のお尻と、この人の腰がぶつかり合う乾いた音が壁越しに聞こえる。まるで、お尻を叩かれているみたい。

「いいっ! 気持ちいいのっ! もっと、もっとしてください!」
 自分でも無意識のうちに、私はそう口に出していた。
 自分の口から出た声を自分の耳で聞いてから、私は自分がこんなことを平気で口にしていたことに驚いた。
 でも、不思議と後悔する気持ちも、自分を軽蔑する気持ちも無かった。
 私に選択肢なんて無い。私は獲物。相手の肉欲を満たすための道具。食欲や性欲といった原始的本能を前にした行為なら、私も、本能に従おう。

「んあぁぁっ! おぉぉっ! きゃひぃぃん!」
 私の声が聞こえたのか、私を犯す腰の動きがいっそう早くなった。
 瞬き一つする間に、何度もペニスが出たり入ったりする。
 深呼吸一つする間に、何度も子宮の入り口がゴツゴツって叩かれる。
 
「くぅん! あぁん! きゃんっ、ふあぁぁん!」
 時々より強い快感を求めてか、ペニスの入り方が変化する。
 少し違う角度から挿入されると、今までと違うところをペニスが擦ってくる感覚が想定外の刺激を与えてくるし、
 奥まで入れられたまま腰を動かして子宮口をぐりぐりって抉られると、痛みと快感が長く続いて反射的に膣内が引き締まる。
 そうして時々違う刺激を得て満足すると、この人はまたケダモノのように激しく腰を振ってペニスを私のヴァギナで扱く。

「足りない……もっと、何かっ……!」
 私も、もっと快感が欲しい。
 乱暴に犯されている下半身は、今まで味わったこともない気持ちよさでいっぱいなのに、私の身体は、もっと気持ち良くなりたいと欲してる。
 自分でも信じられない。自分が、こんなにえっちだったなんて。こんなにいやらしい子だったなんて。
 でも、快楽に負けて自分から犯されることを望んだ最初の時から、私はすでにいやらしい子だったんだから、今さらだわ。
 
 だけど、壁が邪魔で自分じゃ下半身を弄れない。
 相手の人の動きに合わせて雌犬のように腰を振ろうにも、壁に嵌まっているこの状態じゃ私は腰を触れない。
 それでも、何とかしてもっと気持ち良くなりたい。貪られてどうしようもなく火照った身体にもっと刺激が欲しい。今の私でも、もっと気持ち良くなるには……
 
 ……そうだ。下半身には届かないけど、これなら!

「んんっ! はぁっ、これ、いいかもっ」
 壁に突いていた手を離し、両手で自分の胸を揉んでみた。どうせ壁に手を付いて支えなくても、私の身体はこの壁と、後ろの人の両手がしっかりと支えてくれている。
 壁に嵌まっているせいで服を捲れないから、胸を触るのは服の上からになるけど、それでも自分の胸を自分で弄ると私の身体はもっと気持ち良くなっていく。
 
「んくっ、はぁん、んあぁぁ……」
 あまり大きくはない胸だけど、私は爪を立てないように気をつけながら手と指全体を使って両方の胸を掴んで乱暴に揉みしだく。
 下半身をさっきからずっと嬲られ続けた揚句にあそこの中に挿入までされちゃって、私の身体は今までに無いくらいに昂っているみたい。
 胸を弄るだけなら、時々自分で慰めた時にもしたことはある。だけど、下のお口をペニスで犯されながら同時に胸を刺激するのが、こんなに気持ちいいなんて思わなかった。
 
「くふん、あんっ、もっとぉ……」
 でもまだだわ。胸をぐにぐにと自分で揉むのは確かに気持ちいい。下半身から、あそこから感じる刺激と同時に胸からの刺激が私の全身に回り、休む暇も無い快感を与えてくれる。
 それでもまだ物足りない。これ以上の刺激が欲しくてたまらない。服の上からしか胸を弄れないのがもどかしい。けど、さすがに自分で服を破いておっぱいをさらけ出すわけにもいかないし。
 
「んきゃっ! んく、きゃぁんっ!」
 ふと感じる、服越しに、手のひらに伝わって来る固く尖った感触。身体中が発情したせいで、服の上から浮き出るくらいに勃起した乳首だった。
 胸を乱暴にこね回すのを止め、私は指で服の上からその突起を摘んでみた。
 
「ひゃんっ!」
 乳首がきゅん、と切なくなった。上半身が痙攣して、残念ながらあまり大きく無い私の胸が衝撃でふるふると揺れた。
 後ろで私を犯している人の動きが一瞬止まったかと思うと、さらにペニスの硬さを増して激しさを増してくる。
 今までよりもさらに、私の中に入っている肉の棒の大きさや形が詳細に感じられるような気がした。今の衝撃で、私のあそこも刺激を受けて収縮したのかもしれない。
 
「はふっ、きゅぅん! あはっ、んおぉん!」
 両手で乳首を摘む。まるでペニスのように硬くなった乳首は、私が思い切り抓るように刺激しても負けないくらいの弾力を返してくる。
 ぎゅってするたび、乳首が潰れそうな刺激を与えるたびに、びりびりする感覚が胸いっぱいに広がって、そこから全身が痺れるような気持ちよさが伝わって行く。
 
「かはっ! あんっ! ふあぁっ! くぅん!」
 乳首を弄り倒して、時々強く胸を揉んで、服の上からというのがもどかしいけど、それでも十分すぎるくらいこの繰り返しは気持ち良かった。
 私の中で、ペニスもどんどん大きくなっていく。もはや私のヴァギナの中は大洪水で、そんなに濡れているにもかかわらず、ありとあらゆる刺激を受けて切なそうに雄を求める私の膣内は、貪欲にペニスを締めつけていた。

「いいっ! あぁん! 凄い、これ、気持ちいいのっ!」
 快楽を得るたびに身体が跳ねる。視界が揺れて、一か所に視点が定まらない。
 もう、私を犯しているのが誰かとか、この行為が他の誰かにも見られてやしないかとか、そんなこともどうだっていい。
 私の身体中に蓄積された快感が、きっともうすぐ爆発する。その瞬間を早く迎えてイってしまいたい気もするし、このままもっと快楽を貪っていたい気もする。
 
「んおぉっ! あぁっ! ふぉぉんっ!」
 来る。来ちゃう。凄いのがもうすぐ来ちゃうのを感じる。
 ぐちゃぐちゃに濡れた私のおまんこの音。全身から出るかのようなフェロモンの香り。乳首だけじゃなく、全身どこを触っても気持ち良くなれるかのように敏感になった身体。
 私の身体が、雄のモノにされるまで、あと僅かだと分かってしまう。
 
「あぁぁっ! すごいっ! 壊れる、私の赤ちゃんの部屋壊れちゃうっ!!」
 大きく膨らんだペニスが私の中で高速で暴れまわる。精を放つための、原始的欲求にのっとった本能的な衝動で腰を振っているのがここからでも感じられる。
 この人が腰を前後するたびに、私の子宮の入り口が大きなペニスの先端で乱暴に突かれる。まるで、私の子宮口をこじ開けて、少しでも多くの精を中に注ごうとするかのように。
 さながらそれは、城の門を突き破ろうとする巨大な杭のようだと思った。
 私の女として大切な純潔を破っただけでは無く、今度はその肉の杭は私の母として大切な部屋の入口まで突破しようとしているんだ。
 
「あっ、あっ、あぁっ、おっ、んあぉっ!」
 分かっちゃう。この人が、どれだけ私を孕ませたいか。
 膨らんだペニスの大きさ、子宮を突く勢い、すぐ耳元で感じるかのような荒い息遣い。私を離すまいと腰をがっしり掴んでくる逞しい手。
 全ては、私の子宮の中に子種を放つためのものなんだって分かっちゃう。

「はぁっ! ああっ! やっ、あっ、おっ、ふあっ、やあっ!」
 食べられちゃう。お母さんにされちゃう。でも、ここまで来て止めたりなんかできない。最後までして欲しい。
 私のヴァギナの中で射精して、私の全部を奪って欲しい。私がまだ見たことの無い世界に連れて行って欲しい。
 
「んおぅっ! はぁっ、イくの? あなた、もっ、イきそうなの!? い、いいわよっ! ぁぅっ、一緒に、んはぁっ、一緒にイって!」
 膨らんだままで、ペニスがさらに硬さを増した。鋼鉄のように引き締まったペニス、それはさながら、獲物を捉えて引き金を引くだけの鉄砲みたいだった。
 撃たれちゃう。私を孕ませる白い弾丸を撃つ準備が出来たんだ。もうすぐ、私の中でこの人もイくんだ。
 
「出してっ! そのまま、私の中でっ! 私も、もう、イく、イくっ、イっちゃうっ!!」
 私のお腹の中から駆け上がって来る衝動が、全身の穴と言う穴から噴き出しそう。
 最後の仕上げ。何か。絶頂への引き金を引くためにすること。最後に思い切り、気持ち良くなって終わらせたい。
 
「あっ、あぁぁっ! んあぁぁぁぁっ!!」
 乳房が潰れそうになるくらい乱暴に胸を揉んで、それから、両方の乳首を同時に抓った。
 乳首が取れそうなほど強く、思い切り指で摘んで、捻って、押しつぶすと、今までで一番強い電流が胸から頭へと流れた。
 子宮まで届いた電流が、入口を痺れさせる。じんじんと疼く子宮口に、とどめの一突きが与えられた。

「んぉっ……あおぉぉぉぉぉ――――っ!!」
 快感の爆発が、髪の毛の先まで突き抜けた。
 私の身体で受け止めきれないほどの衝撃が、遠吠えとなって辺りに響き渡る。私は、この人のものになったのだと、山中に聞こえるような声で高らかに宣言してしまったんだ。
 それと同時に絶頂した身体。それが雄の子種を求めて全身を使ってペニスを搾りとろうとする。

「あぁっ!? わおぉぉぉっ! んはぁぁぁ――――!!」
 その瞬間、私のヴァギナの一番奥でペニスが爆発した。
 赤ちゃんの部屋の入り口で、赤ちゃんを作るための子種を吐き出す雄のペニス。
 その熱い精液が一番最初に私の子宮の中に注がれた瞬間、私の身体は雌の悦びに満たされてもう一度絶頂した。

「ひんっ! や、あ……熱い、よお……」
 私の一番奥まで征服したぺニスが、私の中に精液を出してる。
 どくんどくんって、私の子宮の中にたくさんの子種が注がれてるのが分かってしまう。
 私の中に入りきらないほど沢山の精液が、私のお腹を膨らまそうとしてくるのが伝わってくる。
 
「あ――はっ――あう、あうぅぅ……」
 このまま中に出され続ければ、きっと私は孕まされちゃう。
 顔も分からなければ、人間なのかも妖怪なのかも分からない人の赤ちゃんを宿しちゃうんだ。
 それなのに。まだお母さんになりたくなんてないはずなのに。

「はぁっ、んふぁ……あああ……」
 今この瞬間に悦びを感じてしまっている自分がいる。
 オスの子種で子宮を満たされて、私のメスの本能が幸福感でいっぱいになっているのが分かる。
 どうしよう。私の身体、おかしくなっちゃった。初めてだったのに、私、たった一回の交尾で完全にメスオオカミに変えられちゃったよぅ……。
 
「あ……あぁぁ……はぁ……はぁ……」
 まだ硬さを維持したまま、私のヴァギナに埋まったペニスは白濁液を出し続ける。
 お腹が一杯にされても、まだ射精は止まらない。長い射精。子宮から全身に広がって行く精液の温もり。それが蕩けきった私の意識を完全に溶かしていく。
 
「もう……ダメ……」
 私の身体は、想像以上に消耗していたみたい。これで全てが終わってしまったんだという、達成感と諦め、両方が入り混じった感情が、私の意識を手放させそうと力を奪っていく。
 このまま眠ってしまったら、どうなるんだろう。意識を失った私を、この人はもう一度犯すんだろうか。
 それとも、私がイった時の大声を聞いてやって来た他の人たちに、代わる代わる犯されちゃうんだろうか。
 もしかしたら、私はずっとこの壁から抜け出せずに、妖怪の山の新しい名物として来る人来る人に犯され続ける人生を送るんだろうか。
 それはさすがに怖いし嫌だ。けど、もう身体に力が入らない。それに、凄く眠い。
 うん。なんだかもう、どうでもいいような気がして来た。だって私、もう墜ちちゃったんだもの。
 
 ……あ、そうだ、一つだけ考えておかないと。
 
 
 子供の名前……何に…………しよ………………
 
 
 
 
 
「……はっ!?」
 一瞬で私の目は覚めた。
 眠っていた五感が勘を取り戻し、周囲の状況を瞬時に私に知らせる。
 それと同時に、深いところに沈んでいた私の意識が現実に引き戻されていく。

「だ、大丈夫ですか!?」
 正面から私を覗き込む、知らない人。
 私の黒くて長い髪とは正反対の、白くて短い髪の女の人が、心配そうに私を見ていた。
 
「え、えっと……はっ!? あ、あれ? 私……えっと、え?」
 意識を手放す直前、何があったかを思い出して私は反射的に跳ね起きた。思わず正面にいた女の人とぶつかりそうになったけど、寸前で踏みとどまった。
 そして立ち上がってから、自分の身体が自由に動けることに気付いた。試しにお尻に手を伸ばしてみる。
 壁に邪魔されることも無く、私の両手は普通にお尻に届いた。スカートは穿いていたし、その上から下着もちゃんと穿いている感触を確認できた。
 あ、あれ? 私は確か壁に嵌まったまま、この家の住人らしき人に見つかって、それでその、お嫁さんに行けないようなことをされて……。
 反射的に私は振り向いていた。私の視界に映っているのは、気を失う前に見たのと同じ大きな剣。それなら私が嵌まった壁は後ろにあるはず。
 
「……あ」
 果たしてそれはそこにあった。私が激突して穴を開けたと思わしき場所に、大きな穴が空いている。早く塞がないと、今の季節は冷たい隙間風が入って寒くてたまらなそうなほどの大きな穴が。
 と、言うことは、少なくとも私があの壁にぶつかって穴を開けたところまでは現実だった、ということになるのかしら。
 でも、そうなるとその後のことは……。
 
「良かった。何度呼びかけても目を覚ましませんでしたし、顔が赤くて額に大きなコブが出来てましたから、もしかしたら頭を打って良くない状態なのかと……」
 もう一度振り向くと、私を介抱してくれていたらしい女性が安堵の息を吐いていた。鋭い目つきはちょっと怖そうな印象を受けたけど、その仕草は誠実そうで親切な人だな、と言う印象を私に与えた。

「あの、もしかしてこの家に住んでいる方ですか? あなたが私を助けてくれたんですか?」
「はい。私は白狼天狗の犬走椛と言います。仕事を終えて帰宅したら貴女がうちの壁に嵌まっていまして、多少乱暴ですが剣で周囲をくり抜いて何とかしました」
 白狼。ということはこの人も狼なんだ。そう言えば、私と似たような匂いが犬走さんからも感じられる。
 良かったわー。てっきりあんな大きな剣を飾ってたから、ここに住んでるのは山賊みたいな大男かと思ったもの。犬走さんみたいな同族の女性で良かったわー。
 ……って、いやいや良くない! よりにもよって家を壊したのが天狗だなんて! 確か集団で社会を形成していて規律には厳しいって話だし、私みたいな一匹狼とは強さもワケが違うし、とにかく誰の家であろうと壁を壊してしまったことは完全に私の落ち度なんだから!
 
「す、すみませんでした! 家を壊してしまって本当にごめんなさい!」
「い、いえ! 頭を上げてください!」
 頭を下げてとにかく謝ろうとした私の手を取って、犬走さんは私の顔を上げさせた。
 女性らしく小さな、だけど剣を握ったりしていて鍛えられたのか、岩のように硬く逞しい手のひらに、私は思わず同性らしからぬ力強さを感じて意識してしまったのは黙っておこう。
 
 犬走さんは私の話を聞いたうえで、事故だったのだから仕方が無い、と許してくれた。壊れた壁は、お友達の河童に頼んで直してもらうんだとか。本当に本当に、犬走さんがいい人で良かったわ。
 私にはわかさぎ姫っていう人魚のお友達がいるし、犬走さんには河童のお友達がいるなんて、そういうところまでなんだか似ていて犬走さんにはとても親近感が沸いたわ。

 ともかく、犬走さんの話だと、私は頭を打ったせいで気を失っていたということになるのよね。
 そうなると、壁に嵌まってからの、あの、お尻を触られたりスカートと下着を下ろされたりお尻の匂いを嗅がれたりおまんこを舐められたり純潔を奪われたり子種を中に出されちゃったりしたことは……
 
 ……
 ………
 …………
 
 ぜ、全部夢? もしくは気絶する前の私の妄想!?
 いくら頭を打ったか何かで意識が朦朧としていたとはいえ、真昼間から、よそ様の家で、あんなエッチな想像していたの私!?
 ううん、違うもん! わ、私、そんなにいやらしい女じゃない! ……はずだもん! きっと発情期だったからその影響であんな夢を見たのよ、うん。
 でも、あんなに痛みも快楽も匂いも音もリアルで、ハッキリと記憶に残っている夢なんてあるのかしら。
 いやでも、犬走さんは女の人だし。いくら犬走さんが男の人みたいにカッコ良くて素敵な人でも、男の人のペニ、あ、いや、アレがついてないとあんなことできないし……。
 
 うん。やっぱりあれは全部夢! 全部発情期のせい! 下着もなんだかすごく濡れてるけど、それも夢のせいで無意識に濡らしちゃっただけだもん! そういうことにしておくわ!

 それにしても、落した財布は何とか無事だったし、ぶつけた頭もコブだけで済んだけど、せっかく妖怪の山まで運んだのに結局河童のバザーには行けなかったわ。
 残念だったけど、でも、犬走さんって言う素敵な同族と知り合えたし、またいつでも遊びに来ていいって言って貰えたし、まぁ、無駄骨ってわけじゃなかったかな。
 痛くて恥ずかしい思いはしたけど、それだけじゃなくいいこともあったし……そうそう、やっと思い出したわ。
 たしかことわざでこういう状況を、「浮世の苦楽は壁一重」とか言うんだっけ。
 紙一重、じゃなくて壁一重、か。面白いわー人生面白いわ―。
 また明日も、いいことが起こるといいな。
「椛ー。壁の修理終わったよー」
「ありがとうにとり。冬も近いし、助かったよ」
「そうそう。もうすぐ冬だもんねぇ。そういえば椛はこの時期は毎年発情期もあるから大変な時期でしょ」
「あ、あぁ……うん」
「ん? どうしたのさ?」
「いや……なんでもないよにとり」



「ただ、発情期は本当に大変だ、って思っただけだよ……」

http://www.pixiv.net/member.php?id=443361
作品情報
作品集:
最新
投稿日時:
2014/05/25 22:43:17
更新日時:
2014/05/25 22:43:17
評価:
7/7
POINT:
54
Rate:
1.98
1. 10 リラクシ ■2014/06/08 01:31:58
えっろおおおおおおおおおおおおおおおおおおい!!!!
堪らん!ハスハス!
めちゃめちゃ面白いです!しかもエロい!影狼ちゃんエロすぎ!
読み漁っている量が少ないのもあるかもしれませんが、影狼の語り口調と言いますか、ここまで軽快な一人称は初めて目にしまして、抵抗もなくすらすらと読み進められました。
導入部分から終始笑いっぱなしで、いざ本番に突入するとエロさが格段に増して、もう、もう!
本当に面白くて最高でした!
赤ちゃんの部屋をノックされて子作りの準備を整えていくんだなって、身体が教えてくれる。この台詞、最っっっっっっっっっっ高にツボでした!
とてもとても楽しめました、ありがとうございます!
2. 7 ■2014/06/08 03:20:11
冒頭のアホの子ぶりから予想外の実用度
よかったです
3. 10 グランドトライン ■2014/06/08 23:35:23
本気で子供の名前考えた方がいいかもしれない。

影狼の小心者っぷりが何よりも可愛いくて、これだけで高得点を入れてしまう程です。
そして後半からの発情っぷりがエロ過ぎて可愛すぎてたまりません。
相手が何も言わないのも想像を掻き立ててグッドです。
エンディングがちょっといまいちに感じましたが、これはこれでニヤリと来ました。

しかしこの後、2人はどんなお付き合いになるのだろうか。気になってしょうがない。
4. 6 匿名 ■2014/06/22 16:41:48
基本点:1点
テーマ:1点(0〜3点)
エロさ:3点(0〜3点)
面白さ:1点(0〜3点)
一言感想:たった4文字なのに何と言うひどいタイトルホイホイだw ネタ自体はありふれた壁ハメだが、ねちっこい描写がとにかくエロい。結局影狼さんの夢オチだったのか、それとも本当に椛がヤったのか、それは読者の想像に委ねるということだろうか。
5. 8 まっく ■2014/06/24 15:50:08
なんか良かった
6. 5 ぱ。 ■2014/06/26 00:54:40
好きだわー、この影狼好きだわー。
内容はシンプルな壁尻もので、特にそちらが好みにヒットするわけではないのですが……非常に読みやすく、すいすい頂くことができました。
口調が原作参照強めなのはやはり好みなのだろうなと。ごちそうさまです。
7. 8 toroiya ■2014/06/27 20:56:32
影狼がいいキャラしてると思いました。一緒に居ると面白そうだ。
それと自分から胸を揉みしだくようになる描写が彼女の心境の変化を一目で表していてよかったです。
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